2019.08.01更新

1 前回ブログに引き続き…
 前回のブログで「知財業界での初体験」をテーマに特許権移転登録手続等請求事件を担当したことを取り上げましたが、今回も私自身の初体験事案として、税関の輸入差止手続の利害関係人として意見書を提出した案件について書いてみたいと思います。

 

2 輸入差止手続の流れ
 輸入差止手続の流れですが、まず、申立人が税関宛てに輸入差止申立てを行います。以前は全国の税関で差止めをしたい場合、各税関に書類を提出しなければならず事務作業が大変だったようですが、今は最寄りの税関に申立てを行うだけで良くなっており、だいぶ楽になっています。
 申立てがあると、税関は輸入差止申立て申請内容を公表します(営業秘密案件を除く。)。
 申立てが受理され、認定手続が開始されると、輸入を差し止められると困る業者(輸入者)は、認定手続開始通知書の日付の翌日から起算して10執務日(生鮮疑義貨物については3執務日)以内に、意見書を提出しなければなりません(詳しくは税関のHPをご覧ください。)。公表に気づいてから10執務日以内ではありません。訴訟手続であれば、訴状が手元に届いてから(≒訴訟提起をされたことを知ってから)30日くらいは時間があるので、訴訟のスケジュール感が普通だと思っていた私からすると、輸入差止手続のスケジュールは利害関係人側にとって非常に厳しく、驚いてしまいました。
 輸入差止めを受ける可能性のある商品を輸入するのであれば、毎日税関のウェブサイトをチェックするのはもちろん、自分が輸入したいものが輸入差止手続に入ったことを知ったらすぐに知財の専門家に相談できる体制を整えていないと、このスケジュールに対応できないかもしれません。差止めを受けやすい商品かどうかは、過去に輸入差止めを受けた商品をチェックすれば雰囲気を掴めると思います。
 このような手続を経て、権利侵害に当たるか否かが認定されることになります。

 

3 税関の知的財産調査官の陣容
 私の体験した案件では、意見書の提出だけでなく、一度税関の知的財産調査官の方々と面接をして、現物を実際に見てもらう機会をいただけました。
 この案件を受任した際には、どこかの段階で専門委員(ちなみに弊所の弓削田弁護士も専門委員候補です。)にバトンタッチをするのかなと思っていましたが、実際に面接に行って知的財産調査官の方々とご挨拶をしたところ、特許庁から出向している調査官の方、弁理士の方など、知的財産調査官の肩書は錚々たるものでした。
 担当者となる知的財産調査官は申立てのあった税関の調査官でしたが、私が担当した案件では、東京税関で面接が行われ、審理は東京税関の総括知的財産調査官の方も多数関与して行われているようでした。地方で申立てをされたけれども、東京の代理人に依頼をしたという場合には、東京で面接をしてもらうように働きかけてみることをお勧めします。

(河部)

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

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