2015.03.30更新

1 ご挨拶

 皆様こんにちは、河部です。弊所も、ただの怠慢紆余曲折を経て、ようやくブログ発信にこぎつけました。

 昨今の弁護士大増員を経て、今は弁護士を選べる時代です。我々弁護士も、選ばれるに足る弁護士であるか、その判断材料を積極的にご提供せねばなりません。

 弁護士選びの判断材料をご提供できるよう、私からは、主に弊所でどんな事案を扱っているのか、仕事に対する弊所の取り組み方などをご紹介できればと考えておりますので、よろしくお願い致します。

 

2 書籍紹介

 販売から2か月ほど経ち若干鮮度を失ってしまいましたが、購入した知財関係の書籍について、感想を述べてみたいと思います。

 高橋淳先生著、『裁判例から見る進歩性判断』です。

 裁判例から見る進歩性判断

 

3 推薦の言葉

 日経新聞の広告欄に掲載されているのを見て、現在取り組んでいる審決取消訴訟の準備に使えるのではないかと手にとってみたのですが、推薦の言葉が凄い。あの田村善之教授が、「今後の進歩性研究は、好むと好まざるとに関わらず、本書の提示したモデルを避けることはできなくなった」と評しています。

 

4 内容が素晴らしい

 進歩性判断の枠組みが明快に、かつ私見を抑えた裁判例分析の形で整理されていて、無効審判、審決取消訴訟、侵害訴訟での無効論、どの準備をするにしろ使いやすいです(永野周志先生の『特許権・進歩性判断基準の体系と判例理論』も読んではいるのですが、私には少しとっつきにくいかなと…)。

 進歩性の主張について、今まではまず新注解特許法の必要部分をおさらいしながら使える裁判例を探し、その後にネットで新しい裁判例に目を通し…という流れで主張を組み立てていました。

 しかし、新注解特許法の29条2項部分も発行から4年近く経っていることもあり、これからは、新しい裁判例まで抑えており、かつ整理されていて論理も明快な本書にまずは目を通すことになりそうです。                     (河部)

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2015.03.23更新

 皆様、こんにちは。

 

 ウェブサイトのリニューアルと同時に所属弁護士が持ち回りで更新するはずだったブログは、「忙しい」を口実にただの1度も更新されないまま、半年が経過してしまいました。

 アソシエイトの河部弁護士から何度も何度も尻を叩かれ、ようやく重い腰を上げることとなりました。執筆担当はランダムになるかもしれませんが、週1回ペースでブログを更新していきたいと思います。

 

 さて、本年(平成27年)3月16日付け日本経済新聞の朝刊に、知的財産高等裁判所の設楽隆一所長が、特許権侵害訴訟における和解を含んだ特許権者(原告)の実質的勝訴率が約4割(約42%)にのぼり、欧米に比べて原告勝訴率が低いという指摘に反論されたとの記事がありました。

 ご存じの方も多いと思いますが、知的財産権訴訟の判決は、判決の言い渡しがなされると数日で最高裁判所のウェブサイトに掲載されます。私も時々チェックするのですが、確かに請求棄却(原告敗訴)判決が大半で、一部認容判決(原告の請求を一部認める判決)を含めて原告勝訴判決はチラホラという感じです。それもそのはず、上記記事によれば、平成23年~25年の3年間で下された144件の判決中、原告勝訴判決は37件、割合にするとわずか25.7%です。

 この数字だけを見てしまうと、特許権者としては訴訟提起を躊躇してしまって当然です。特許権者だってむやみやたらと訴訟を起こしているわけではなくて、何度も何度も検討して、相手方とも書面のやりとりや交渉を重ねて、吟味して訴訟を提起しているわけです。訴訟を起こせば印紙代もかかりますし、弁護士費用も決して安くありません(スミマセン)。それなのに1/4の確率でしか勝てない、場合によっては裁判所からアナタの特許は無効だなんて全世界に宣言されるわけですから、特許権者に、訴訟なんか起こすだけ損だと思われてしまうのもやむを得ません。

 

 でも、上の数字はどうにも特許権侵害訴訟の実態とは合いません。究極的にはお金で解決できる場合が多い特許権侵害訴訟は、和解で終わることが少なくないからです。そして、設楽所長がご指摘されているとおり、「特許訴訟では、裁判所は『原告が勝つ』と判断した場合に和解を勧告する」ので、和解の場合には、原告有利のものが多くを占めます。「和解で終わったケースは94件(中略)。このうち原告勝訴に等しい合意内容の和解は販売・製造差し止めが41件、十分な金銭の支払いもしくはライセンス契約の締結が23件」(上記記事)ということですから、和解に占める原告有利和解の割合は約68%にもなるのです。

 この原告有利和解と原告勝訴判決を合計すると、特許権者(原告)の実質的勝訴率は約42%という冒頭の数字になります。42%ともなれば、五分五分とまではいかないものの、ダメ元という数字ではありませんから、特許権者にとっても、紛争解決手段として訴訟提起を選択する大きな動機になり得るのではないでしょうか。

 費用と労力をかけて、特許権を取得し、これまで維持してきたわけです。権利は行使してこそ意味があります。訴訟を起こさなければ宝の持ち腐れです。いえ、そうでないと困るんです、弁護士も(笑)                    (弓削田)

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

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