2016.12.27更新

 1 個人情報活用の必要性 

 前々回のブログで、改正個人情報保護法の1号型の「個人情報」も、なお不明確な部分があることをご紹介しました。

 そうすると、企業からすれば、どのような場合に当該情報を「個人情報」として取り扱えばよいのか不明確です。他方で、経済界ではビッグデータをマーケティング等で活用したいという強い要請があります。 

 

 

2 Suica事件 

 少し前の話になりますが、平成25年7月頃、JR東日本が日立製作所に対し、Suicaの情報を販売したことが問題視され、新聞等でも取り上げられました。この事件では、JR東日本は、乗車駅や降車駅に関する情報を提供しただけで、氏名や生年月日等の個人を特定できる情報を提供していませんでした。 

 それにもかかわらず、個人情報保護法違反では?というユーザーの声により、JR東日本は、情報の提供を中止せざるを得なくなりました。

 

 

3 匿名加工情報とは 

 Suica事件は、ビッグデータ利用の要請が高まる一方で、個人情報保護要請の高まりと、企業のビッグデータを活用したいという要請が衝突したものですが、旧個人情報保護法制定時には、ビッグデータの活用自体が議論されていませんでした。 

 そこで、改正法では、「個人情報」の利用に対するビジネス上の要請に応えるため、「匿名加工情報」という概念が設けられました。

 

 改正個人情報保護法2項9項は、「匿名加工情報」について、以下のとおり定義しています。

 

 この法律において「匿名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。 

一 第1項第1号に該当する個人情報 

  当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元す

 ることのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。) 

二 第1項第2号に該当する個人情報 

  当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を

 復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含

 む。)

 

 また、「匿名加工情報」の作成方法について、改正法36条1項は、「個人情報保護委員会規則で定める基準」に従って、当該個人情報を加工しなければならないとしています。この「個人情報保護委員会規則で定める基準」は、以下のとおりです。

 

(匿名加工情報の作成の方法に関する基準) 

第十九条 

法第三十六条第一項の個人情報保護委員会規則で定める基準は、次のとおりとする。 

一 個人情報に含まれる特定の個人を識別することができる記述等の全部又は一部を削

 除すること(当該全部又は一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方

 法により他の記述等に置き換えることを含む。)。 

二 個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元

 することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含

 む。)。 

三 個人情報と当該個人情報に措置を講じて得られる情報とを連結する符号(現に個人

 情報取扱事業者において取り扱う情報を相互に連結する符号に限る。)を削除するこ

 と(当該符号を復元することのできる規則性を有しない方法により当該個人情報と当

 該個人情報に措置を講じて得られる情報を連結することができない符号に置き換える

 ことを含む。)。 

四 特異な記述等を削除すること(当該特異な記述等を復元することのできる規則性を

 有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。 

五 前各号に掲げる措置のほか、個人情報に含まれる記述等と当該個人情報を含む個人

 情報データベース等を構成する他の個人情報に含まれる記述等との差異その他の当該

 個人情報データベース等の性質を勘案し、その結果を踏まえて適切な措置を講ずるこ

 と。

 

 以上の基準も必ずしも明確ではありませんが、今後、経済産業省の「匿名個人情報マニュアル」や認定個人情報保護団体の作成する個人情報保護方針により、事例ごとの類型的な措置が固まっていくことが期待されます。

 

 

4 匿名加工情報の第三者提供時の注意 

 匿名加工情報は、「個人情報」ではありませんので、理論的には個人情報保護法が適用されず、事業者は当該情報を自由に利用できることとなります。もっとも、匿名加工情報が第三者提供されるに際し、提供先の持つ情報と照合されて、「個人情報」となってしまうことを防止するため、事業者は、提供先に対し、提供に係る情報が匿名加工情報であることを明示しなければならないとされています。 

 また、あらかじめ第三者に提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目及び情報の提供について、個人情報取扱事業者は公表しなければなりません(改正法36条4項、37条)。 

 

(河部、神田)

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.22更新

1 改正法施行は平成29年5月30日から

 改正個人情報保護法の具体的な施行日は、最近まで決まっていなかったのですが、平成28年12月20日の閣議決定により、改正個人情報保護法の全面施行日が平成29年5月30日からとなりました。

 なお、オプトアウトによる第三者提供(改正法23条2項)を行うには、個人情報保護委員会へ届け出ることが必要となり、この届出は、改正法施行前でも可能であることは、以前のブログでもご紹介したとおりですが、この改正法施行前の届出は、平成29年3月1日から可能となりました。

 

 

2 改正前の適用除外

 改正法の施行に伴い、大きく影響を受けるのが、「小規模事業者」です。

 改正前個人情報保護法では、その事業の用に供する個人情報データベース等(紙媒体、電子媒体を問わず、特定の個人情報を検索できるように体系的に構成したもの)を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6か月以内のいずれの日においても5000を超えない者は、いわゆる「小規模事業者」として、個人情報保護法の適用対象外とされていました(法2条3項5号、政令2条柱書)。

 これは、保有する個人情報が少ない事業者は、通常事業規模も小さく、個人情報保護法の要求する個人情報管理を要求するのは酷であるという趣旨でした。

 

 

3 改正後は小規模事業者でも個人情報管理に注意が必要

 しかし、企業による個人情報の漏洩問題が大きく報道され、インターネット等の急速な普及により、取り扱う個人情報の数が少なくても個人の権利を侵害する危険性は変わらないことが明らかとなり、上記の適用対象外要件は撤廃されました。

 平成29年5月30日以降個人情報を取り扱う企業様は、その取り扱う個人情報の数に拘わらず、個人情報管理に気を遣う必要があります。

 

(河部、神田)

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.22更新

1 改正個人情報保護法における個人情報

 前回、改正前の「個人情報」の定義を確認したので、本題の改正法の定義を見ていきます。

 この改正により、個人情報の定義がいわゆる1号型と2号型に分かれることとなりました。なお、1号型か2号型のいずれに該当するかにより、個人情報保護法上の取扱いに違いはありません。

 

 

2 1号型の個人情報

 1号型の「個人情報」とは、改正法2条1項1号に定義があり、

 

 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第2号において同じ。)で作られる記録をいう。第18条2項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別番号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)。

 

とされています。

 かっこ書が続いて非常に読みにくい文章となっていますが、途中のかっこ書きを除いて読むと、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」となります。前回のブログでご紹介した改正前の個人情報の定義と同じです。

 そうすると、今回の改正で新設されたのは、「その他の記述等」に関する途中のかっこ書の部分となります。つまり、「文書、図画若しくは電磁的記録」なども「個人情報」に含まれるということを確認したのが、今回の改正の趣旨です。電磁的記録等が「個人情報」に含まれることは、改正前個人情報でも当然のことと考えられていたため、この点は実質的な改正ではありません。

 このように見ていくと、個人情報の不明確さの理由と考えられていた「(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」の部分は改正されていないことが分かります。結局、1号型の個人情報に該当するか否かは、改正前と変わらず、「事案による」ということです。今後、新設された個人情報保護委員会により明確な指針が示されることが期待されます。

 

 

3 2号型の個人情報

 2号型の個人情報とは、「個人識別符号が含まれるもの」(改正法2条1項2号)であり、「個人識別符号」については、改正法2条2項に以下のとおり定義されています。

 

 この法律において『個人識別符号』とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。

一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、

 番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの

二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り

 当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁

 的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若

 しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、

 又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又

 は発行を受ける者を識別することができるもの」

 

 上記のとおり、改正法2条2項には1号と2号がありますが、そもそも1号と2号の内容を具体化したものが「政令で定める」情報ですので、政令で定める情報に該当すれば、直ちに個人情報に該当することとなります。以下が「政令で定めるもの」になります。

 

 個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)第二条第二項の政令で定める文字、番号、記号その他の符号は、次に掲げるものとする。

一 次に掲げる身体の特徴のいずれかを電子計算機の用に供するために変換した文字、

 番号、記号その他の符号であって、特定の個人を識別するに足りるものとして個人

 情報保護委員会規則で定める基準に適合するもの

 イ 細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配

 ロ 顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状に

  よって定まる容貌

 ハ 虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様

 ニ 発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化

 ホ 歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様

 ヘ 手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まる

  その静脈の形状

 ト 指紋又は掌紋

二 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第六条第一項第一号の旅券の番

三 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十四条に規定する基礎年金番号

四 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十三条第一項第一号の免許証の番号

五 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第十三号に規定する住民票

 コード

六 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成

 二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号

七 次に掲げる証明書にその発行を受ける者ごとに異なるものとなるように記載された

 個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、記号その他の符号

 イ 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第九条第二項の被保険者証

 ロ 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十四条

   第三項の被保険者証

 ハ 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十二条第三項の被保険者証

八 その他前各号に準ずるものとして個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、

 記号その他の符号」

 

 2号から7号までは非常に分かりやすいですね。パスポート番号や免許証番号、マイナンバーなどが個人情報に該当すると明確化されたことになります。

 しかし、前回のブログでご紹介した携帯電話番号などは入っておらず、これはやはり1号型の個人情報に該当するかという判断をしなければなりません。2号型「個人情報」は、個人情報保護への関心が高まっている昨今、さしあたって要保護性の高い情報のみ個人情報に該当するものと明確化したものといったところでしょうか。

(河部、神田)

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.16更新

1 個人情報とは

 改正個人情報保護法は、「個人情報」の定義をより明確にしています。では、そもそも現行法で「個人情報」とはどのようなものを指すとされているのでしょうか。現行法を理解すると、なぜ改正する必要があるのか理解できると思いますので、今回は現行法についてご説明し、次回、改正法でどのように「個人情報」の定義が変わったのかに触れたいと思います。

 

 

2 個人情報保護法における定義

 日常的に使われる「個人情報」という言葉ですが、個人情報保護法がこれを定義しています。

 その内容は、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるものを含む。)をいう。」(2条1項)というものです。

 以下、詳しく見ていきます。

 

 

3 「生存する個人に関する情報」

 「個人情報」に該当するためには、「生存する個人に関する情報」であることが必要です。

 亡くなった方、歴史上の人物の情報は、「個人情報」になりません。

 誤解される方が多いのが法人の情報です。「個人」の情報ですから、法人の情報は個人情報に含まれません。

 この点も誤解が多いのですが、個人情報に該当するか否かは、公開されているか否かを問いません。プライバシー=個人情報という理解から、公開されていない私的な情報を個人情報と考えている方も多いのですが、例えば、フェイスブックやブログ等で氏名や生年月日が公開されていたとしても、それらの情報が個人情報であることに変わりはありません。

 

 

4 「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」

 この点は理解が難しいのですが、その情報により個人を特定できるか否かを「個人情報」の要件とするものです。

 例示されている氏名や生年月日はこれにより特定の個人を特定することができるため、個人情報の最たるものです。また、声や指紋、筆跡等も、一人一人異なるという意味で、個人を特定できる「個人情報」に該当します。

 

 

5 「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができるもの」

 これは、その情報「単体」では個人を特定できなくとも、他の情報と容易に組み合わせられる状況では、個人を特定できる「個人情報」となりうることを規定したものです。

 具体的としては、よく携帯電話番号の例が挙げられます。携帯電話番号は、規則性のない数列であって、それだけでは誰の携帯電話番号か特定できません。しかし、事業者が携帯電話番号を氏名や住所と紐づけて管理していた場合、携帯電話番号と氏名や住所を照合すれば、特定の個人を特定できてしまいます。この場合、氏名や住所のみならず、「携帯電話番号」も個人情報になってしまうのです。その結果、「携帯電話番号」を本人の同意なく第三者に提供できません。

 

 

6 個人情報の不明確性

 以上のとおり、「個人情報」に該当するか否かは、その管理の状況等により変わります。

 これでは、事業者からすれば、どのような場合にどのような情報を「個人情報」として取り扱えばよいのか見通しが立たず、新しい事業を行うにあたっての障害となってしまいます。そこで、本改正で個人情報の定義を明確化することになりました(もっとも、実際に明確になっているかは要検討事項ですが・・・)。

 次回は、改正法の「個人情報」の定義に触れたいと思います。

(河部、神田)

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.15更新

1 充足論と無効論は正反対の役割

 今回は、特許権侵害訴訟における充足論と無効論の使い方という、ちょっと実戦的な内容に触れてみたいと思います。

 特許権侵害訴訟において、充足論の主張と無効論の主張は、正反対の役割を果たすことになります。すなわち、

 ① 充足論の主張では、原告は被告商品や被告方法が権利の範囲内に入るように広い権利を主張し、逆に被告は被告商品や被告方法が権利の範囲内に入らないように狭い権利を主張するのに対し、

 ② 無効論の主張では、原告は無効にならないように狭い権利を主張し、逆に被告は無効になるように広い権利を主張する

という逆の方向性の主張をしなければなりません。

 

  代理人として双方の立場から主張を組み立てる場合、

 ① 原告であれば、被告の充足論・無効論の主張をどうかいくぐって一貫性のある論理を構築し、揚げ足を取られないように自らの主張を吟味すること、

 ② 被告であれば、原告の充足論での主張を利用して無効論で主張を展開し、また無効論での原告の主張を利用して充足論で自らの主張の補強をすること、

になります。

 被告の場合、たとえ特許を無効にするのは非常に難しいと考えていたとしても、無効論に対する反論で原告が口を滑らせる可能性を考え、無効論の主張を組み立てることもあります。

 

2 知財弁護士の腕の見せ所

 知財に関わる弁護士・弁理士であれば上記のようなことは当然理解しているはずですが、一般論としてはともかく、実際に充足論の主張と無効論の主張の矛盾を突いたり、充足論と無効論で首尾一貫した主張を構築したりすることは、簡単ではありません。知財弁護士の腕の見せ所であり、充足論を弁護士、無効論を弁理士が担当している場合には、充足論と無効論の連携が問われます。

 

3 無効資料の探し方にも影響する

 上記の事は、無効資料の探し方にも関わってきます。

 無効論主張は要件事実的にいえば抗弁であり、原則論としては、充足論における原告主張がすべて認められた場合にのみ意味を有するものです(実際の判決では、無効論だけ審理して充足か否かを問わずに棄却する場合もあります。)。したがって、無効論主張に用いる資料は、構成要件解釈について原告側が主張する広い権利範囲を前提に行うことになります。

 特に調査担当の方が訴訟を経験していない場合や調査会社に依頼する場合、この点は盲点になりがちなので、注意が必要です。

(河部)

 

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.14更新

 小林・弓削田法律事務所では、基本的に出願案件は特許庁対応の専門家である弁理士の先生にお任せしていますが、紛争案件を弁理士の先生と共同で受任することが多く、普段から一緒にお仕事をさせていただいています。

 

 弁理士の仕事を知ることはより良い連携を取るために有効でしょうし、来年1月からまた1名弁護士が増えて私にも少し余裕ができそうなので、この機会に弁理士実務修習を受けてみることにしました。

 

 申込みを済ませ、届いた教材がこちら↓

弁理士実務修習を受けてみた

 

 専念義務があり1年間の司法修習より量が多い気がします・・・

 年末は、実務修習の課題に追われることになりそうです。

(河部)

 

 

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.12更新

1 要配慮個人情報とは

 前回の記事で、「要配慮個人情報」はオプトアウト方式による第三者提供が認められないことに触れました。そこで、今回は、「要配慮個人情報」とは何かについてご説明します。

 「要配慮個人情報」とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」(改正法2条3項)と定義され、今回の改正で新設されたものです。

 

 

2 どのような情報が要配慮個人情報となるか

 「病歴」や「犯罪の経歴」は分かりやすいですね。このような情報は、勝手に取得されたくないし、特に何も言わなくても第三者提供されたくないと考える方が一般の感覚かなと思います。

 なお、「政令で定める記述等」については、施行令2条にて定義がされており、その内容は以下のとおりです。

 

「(1)要配慮個人情報に加えるものは、次に掲げる事項のいずれかを内容とする記述等を含む個人情報とする。

(ア)身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の個人情 報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること。

(イ)本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者により行われた健康診断その他の検査の結果。

(ウ)健康診断その他の検査の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと。

(エ)本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと。

(オ)本人を非行少年又はその疑いのある者として、調査、観護の措置、審判、保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと。」

 

 

3 取得に本人の同意が必要

 要配慮個人情報については、一定の例外を除き、その取得にあたり「あらかじめ」本人の同意が必要です(改正法17条2項柱書)。通常の個人情報については、本人に対して利用目的を特定した上で通知すれば、本人の同意を得ることなく取得できるのに比して、厳格な手続となっています。

      

 

4 オプトアウト方式は認められない

 前回の記事でも触れましたが、要配慮個人情報については、オプトアウト方式による第三者提供は許容されていません(改正法23条2項かっこ書)。これには例外はありません。

 オプトアウト方式により個人情報を第三者に提供する事業者の方は、その中に要配慮個人情報が含まれていないか、十分確認することが必要です。

 

 

5 違反した場合

 上記の法令に違反した場合には、個人情報保護委員会からの勧告・命令の対象となります(改正法42条)。つまり、違法な取得やオプトアウトについてはまずは勧告、それでもやめないと命令がなされ、命令に違反した場合には、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます(改正法84条)。なお、法人については、違反した者(人)はもちろん、法人に対しても罰金刑が科されます(改正法87条)。

 また、本人は、事業者に対し、利用停止等を請求できます(改正法30条1項、3項)。

 

 

6 次回は「個人情報」の定義

 次回は、「個人情報」の定義がより明確化されたことに触れたいと思います。

 

(河部、神田)

 

 

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.05更新

1 勉強会で

 ずいぶんと前ですが、第二東京弁護士会の会派五月会の勉強会に参加してきました。その中で一番印象に残ったのが、オプトアウト方式に関する個人情報保護法の改正です。

 

2 オプトアウトに関する規制の強化

 現行個人情報保護法においては、個人情報を第三者に提供するためには、原則として本人の同意が必要(23条1項)としつつ、一定の要件を備える場合には同意を得ずに第三者提供ができることになっています(23条2項、いわゆる「オプトアウト」方式)。

ところが、今回の改正で、新たに新設される個人情報保護委員会に対して、オプトアウトの方法で第三者提供することを届け出ておかねばならない(改正23条2項)ということになりました(例外はあります。)。

 

3 放っておくと違法状態になる!?

 つまり、現時点でオプトアウト方式を採用している企業が、個人情報保護法改正前に何にもしないでいると、改正法が施行された時点で、個人情報保護法違反の状態になってしまうということです。知らないとコンプライアンス意識の低い企業の烙印を押されてしまうかもしれません。

 

4 忘れてしまわないために・・・

 施行後に届け出ると、施行前からオプトアウト方式を採用していた企業はわずかな時間とはいえ違法状態になるわけですし、法務部を置いていない企業では、日々の業務に追われて届出を忘れてしまって違法状態が続いてしまうなんてこともありそうです。

 改正法もそこはきちんと配慮しており、改正法の施行前に、一定事項について本人に通知するとともに、個人情報保護委員会に届け出れば、施行後に届け出たことになります(附則2条)。改正前に届け出てしまうのが得策ですね。

 

5 チェックしておく必要性

 オプトアウト方式についての改正を知った勉強会の時点では、個人情報保護委員会すら設置されていませんでしたが、最近調べたところ、現在は設置されているようです。もっとも、今のところ届出はできません。いつ届出ができるようになるのか、しばらくはチェックしておく必要がありそうです。

  ちなみに、改正法では「要配慮個人情報」というのが定義されており、これについてはオプトアウト方式自体認められませんので、注意が必要です。

 

(河部、神田)

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

2016.12.01更新

1 ブログ再開

 前回更新から随分と時間が空いてしまいました。準備書面なら何十頁でもそう悩まないのですが、何を書けばいいのか決まっている準備書面と違って、こういった文章は何を書こうかから始まってなかなか筆が進まず・・・しかし、依頼者の方から読んでいると声をかけていただいたこともあり、また、神田弁護士も手伝ってくれるそうなので、できる範囲で頑張りたいと思います。

 

2 口頭弁論の活性化

 さて、半年ほど前に技術説明会の公開について言及をさせていただきましたが、今回も似たテーマ、「口頭弁論の活性化」についてです。

 先日、知的財産高等裁判所第4部の事件で、「口頭弁論の活性化」のために、口頭弁論期日において技術の内容について口頭でプレゼンテーションをするという機会がありました。

 普段、法廷には次の期日の関係者くらいしかいないのですが、当日は何故か大勢の学生さんが見学にいらっしゃっていて、かなり緊張し、冷や汗をかいてしまいました。何度も練習をしておいて本当によかったです^^;

 

3 今後の知財弁護士・弁理士に問われるプレゼン能力

 現在のところ、この「口頭弁論の活性化」は知的財産高等裁判所第4部でしか行われていません。しかし、審決取消訴訟では技術説明会を求められることも多いですし、知財高裁の別の部では、技術説明会より簡略化したプレゼンテーションを弁論準備手続期日ごとに求められることもあります。

 私自身も技術説明会等を行うたびに痛感しますが、こういったプレゼンテーションでは、単に原稿を棒読みするだけでは全然内容が伝わりません。また、不意の質問にも即座に回答できるだけの技術に対する理解が必要ですが、回答の内容が専門的すぎては、必ずしも技術の専門家ではない裁判官には伝わりません。技術に対する理解だけでなく、技術をかみ砕いて説明する能力も必要です。

 証人尋問の少ない知財訴訟は書面のやり取りだけで淡々と進むことが多かったですが、今後は、技術説明会に限らずプレゼンテーションの機会が増加し、知財訴訟を担当する代理人弁護士・弁理士にとっては、技術を深く理解して口頭で分かりやすく説明するプレゼンテーション技術が問われる時代になっていくのかもしれません。

(河部)

投稿者: 小林・弓削田法律事務所

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