競争の促進を促して経済の発達に貢献する独占禁止法(独禁法)は、同じように産業の発展を目的とするものの、その手段として技術の独占を認める特許法などの知的財産法と交錯する場面があります。ライセンス契約や共同研究契約が、その典型例です。
また、事例は多くありませんが、知的財産権に基づく差止請求に対し、独禁法違反に基づく権利濫用の抗弁を主張する案件なども存在します。
また、独占禁止法24条は、独占禁止法違反行為に対し差止請求をすることを認め、独占禁止法24条に基づく差止請求訴訟が提起された場合、裁判所は、公正取引委員会に通知をしなければならないとされています(独占禁止法79条1項)。中小企業の側から、独禁法を武器に訴訟に打って出て、社会の目を気にする大企業に大きな圧力をかけることも可能なのです。公正取引委員会の年次報告によると、独禁法24条に基づく差止請求訴訟・独禁法25条に基づく損害賠償請求訴訟の件数は、過去10年間でも40件程度にすぎません。このような中、小林・弓削田法律事務所では、直近10年間で3件の独禁法24条に基づく差止請求訴訟を取り扱っています。
公正取引委員会は、令和元年6月に「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」を発表しており、中小企業が、大企業から自社の知財を守るため、奪われた利益を取り返すために、独禁法を武器とする案件は増加すると見込まれます。
以上のとおり、小林・弓削田法律事務所は、多くの知的財産案件を扱う中で、知財と独禁法の交錯する分野での経験を積んでおり、知財に関し、独禁法という別の切り口から、経験に基づいた的確な助言をすることができます。