平成30年度の国税庁の会社標本調査結果によると、我が国の会社の実に96.4%は同族会社だそうです。そして、このような同族会社では、相続が原因で株式が親族間で分散することなどにより、会社の経営権を巡って紛争が起き、訴訟にまで至ることが少なくありません。東京地方裁判所民事第8部は、「商事部」と言われ、会社関係訴訟や独占禁止法関連訴訟を取り扱っていますが、そのほとんど事件は、同族会社間の内紛です。
同族会社では、親族同士が株主であると同時に会社の役員でもあることがほとんどであるため、会社法上採れる手段が株主と役員のどちらか一方の立場だけの場合と比較して多くなり、対立する親族同士が訴え合う、などということが往々にして起こります。
さらに、こうした同族会社では、会社法上の細かな規定を遵守していないことも多く、このことも、会社関係訴訟が提起される原因になります。裁判所は、会社法に定められた形式の遵守を要求するため、攻める側の株主にとっては、これが武器になります。
我々も、当初は問題がなくても、時間の経過とともに親族関係が悪くなり、経営を巡って意見が対立したり、少数株主が会社に対して株式の買取りを請求したりと、経済的側面と親族特有の感情のもつれが合わさって紛争が激化し、ついには訴訟まで発展した事案を目の当たりにしてきました。
小林・弓削田法律事務所に所属する弁護士は、同族会社の紛争案件も多く扱っていますので、実際に紛争に巻き込まれてしまった場合にも、紛争に巻き込まれないためにどういった方策を採ったらいいのかというご相談にも、対応することができます。