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INSIGHTコラム

管轄は重要

2016.03.08 Tue
  • 弁護士/河部 康弘

1 実は大切な管轄

 司法試験受験生の頃は気にも留めませんでしたが、管轄(土地管轄の意味で用いています。)は訴訟実務にとって非常に大きな問題です。東京の弁護士が大阪地方裁判所に行かなければならないとすると(特許訴訟は東京と大阪に集められる(民事訴訟法6条)ため、このケースは結構多いです。)、東京駅と大阪駅の往復だけで1人3万円近くかかり、例えば1人の弁護士が10回出頭したとなると交通費だけで30万円を依頼者の方にご負担いただかねばなりません。知財訴訟を弁護士1人でやることはほとんどなく、弁護士だけでなく弁理士の先生とも共同して訴訟を行うことがほとんどなので、実際にはその数倍になってしまいます。

 なお、知財事件では基本的に電話会議を使わないので、電話会議で交通費カットというわけにもいきません。

2 私自身の経験

 私自身も、入所以来移送申立て(別の裁判所が管轄であるとして争うことです。)で高裁まで争うケースを何件も扱い、どの事件でも管轄争いだけで何か月も時間が経ってしまいました。

 司法試験のときは管轄など択一試験の知識問題という程度の意識しかなく、管轄について必死で意見書を作成するなどとは思いもよらなかったのですが、管轄争いが実務では如何に重要であるか、弁護士として実務に携わり、移送申立事件を経験する中で嫌というほど身に染みました。

 移送申立てがあると、提出期限を定めて相手方に意見書の提出が求められ、申立人側にも意見書に対する反論が求められるなど、審理に時間がかかります。決定が出たとしても、即時抗告がなされると、再度の考案(民事訴訟法333条)のために時間をとったり、再度意見書の提出が求められたりと、余計に時間がかかります。管轄争いをフルコースで行うと、実に半年近い時間が過ぎてしまうほどです。

 特許権侵害訴訟においては、特許を無効にするために文献を探す時間が必要です。特許事件では、「無効理由を探す時間を稼ぐために移送申立てを利用しているのではないか」と思うような事案に遭遇することもあります。

3 管轄にも強い弁護士を

 労働審判は支部が管轄を有していなかったり(以前のブログでお伝えしたとおり、いくつかの支部では労働審判の管轄が認められています。)、依頼者の方も合意管轄を取っていたことを覚えていなかったり、「不法行為地」(民事訴訟法5条9号)の解釈を巡って争ったり(特許事件では東京地裁か大阪地裁かを巡って「不法行為地」の解釈争いがしばしば起こります。)と、管轄は意外と難しいものです。訴訟に関わる弁護士たる者、訴訟の入り口である管轄の問題にも強くなければなりません。

                                   (河部)

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