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押印と契約書①~コロナ禍終息後の知財関係書類

2020.07.01 Wed
  • その他の知的財産関連業務
  • 弁護士/神田 秀斗

1 弁理士の日ブログ
 弁理士の内田浩輔先生のご紹介で本年の「弁理士の日」に「押印と契約書」という内容で投稿させていただきます。

https://benrishikoza.com/blog/benrishinohi2020/

 昨年は河部弁護士が「知財業界の初体験」という記事を投稿しており、よろしければこちらもご参照ください。

2 内閣府等のQ&A発表
 令和2年6月19日に内閣府・法務省・経済産業省が連名で「押印についてのQ&A」を発表しました。従来から契約書に押印する面倒さは指摘されていましたが、昨今の新型コロナウイルスの流行から、出社が必要な契約書押印は避けたいという民間企業の要請を受けたものと考えられます。
 内容としては、押印の法律上の意義(民事訴訟法第228条第4項)に触れながら、契約書作成にあたり押印は必ずしも必要ではないというものとなっています。弁護士という立場からすれば、内容自体に目新しいものはありません。
 他方で、日本においてはいわゆる押印文化というものが根強く残っており、「契約書には押印しなければ!」という強迫観念があります。これ自体、実は一定程度合理性があるものです。
 そこで、押印が要求される法律上の理由を踏まえながら、今後押印を一切無くしていくべきか、押印済み契約書と押印無し契約書(電子契約を含む。)が並存していくべきか、知財関係書類にどのような影響があるか等について検討したいと思います。

3 なぜ押印が必要か
 民事訴訟法第228条第4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています。ここでは、「真正に成立」とはどういう意味かを理解することが重要です。
 ざっくり言うと、「真正に成立」とは、当該文書について、「本人」の意思に基づいて作成されたということです(偽造ではないということです。)。民事裁判においては、証拠が命と言われるように、ある事実についてそれを裏付ける書面をたくさん提出します。その証拠書面について、裁判で有効な場合とは、その書面が作成者の意思に基づいて作成された場合です。偽造された書類が飛び交う裁判には意味がないことは分かっていただけると思います。
 したがって、文書の成立の真正というのは非常に重要です。特に契約書は、それがあるかないか(証拠として使用できるかできないか)により、裁判の帰趨を決定します。例えば、ライセンサーとして提起する実施料支払請求訴訟において、ライセンス契約書がない場合(押印がない場合を含む。)、実施料額、ライセンス日、弁済期等について、契約書以外の証拠(メールや第三者の証言)から立証していかなければなりません。これは非常に大変です。
 以上のとおり、文書に本人の押印があることは、裁判において当該文書を証拠として使用できるという重要な効果をもたらします。押印必要派が何の理由もなく押印が必要と言っていたわけではなく、法律上の背景があるわけです。

4 次回
 次回は、押印を無くしていく立場から検討してみたいと思います。

(神田)

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