弁護士ノート

lawyer note

特許法

  • 特許権侵害訴訟において差止請求と損害賠償請求を分けることの意味

    2023.08.01 弁護士:平田 慎二 特許法 知的財産訴訟

     特許権が侵害されている場合、侵害品の製造、販売等の差止を求めることができる(特許法100条)とともに、侵害行為により被った損害の賠償を求めたり(民法709条)、実施料相当額の不当利得の返還を求めることができます(民法703条)。  そのため、特許権侵害訴訟の訴訟物は、大別して①原告が被…

  • 特許法102条に関する現在の裁判実務

    2022.06.02 弁護士:平田 慎二 特許法

     現在の裁判実務では、特許権侵害が認められた場合、比較的高額な損害額が認められる傾向にあります。これは、特許法において、民法709条の損害額の算定のための特則として、損害額の推定規定(特許法102条)が設けられており、特許権者の立証責任が軽減されていることが一因です。また、近年、特許法1…

  • 2014年から2020年までの「特許権侵害訴訟の原告勝訴率」

    2022.02.24 弁護士:小林 幸夫 特許法 知的財産訴訟

     2015年3月23日の当所のブログで、弓削田弁護士が「特許権侵害訴訟の原告勝訴率」を紹介しました。  平成23年〜25年の3年間で下された144件の判決中、原告勝訴判決は37件、割合にするとわずか25.7%ですが、勝訴的和解を含めた場合の割合は、約42%であること、よって紛争解決手段と…

  • パリ条約に基づく優先権についての知財高裁の判決のご紹介

    2021.11.04 弁護士:平田 慎二 特許法

    1 パリ条約4条Fによる部分優先の解釈についての初の裁判例  パリ条約4条Fによる部分優先について初めて判断を示した知財高裁の判決(「ブルニアンリンク作成デバイスおよびキット」事件(知財高判令和2年11月5日令和元年(行ケ)第10132号)。以下「本判決」といいます。)をご紹介します。 …

  • 弁理士会・二弁合同研修②

    2020.11.19 弁護士:河部 康弘 特許法 知的財産訴訟

    1 「裁判体の心証形成と当事者の主張の在り方について」  以前掲載した弁理士会・二弁合同研修のコラムに引き続き、弁理士会と二弁の合同研修に触れたいと思います。今回は、清水先生の「裁判体の心証形成と当事者の主張の在り方について」です。 2 裁判官の心証の取り方  裁判を抱えている当事者にと…

  • 現代アートと特許!?

    2020.11.05 弁護士:木村 剛大 Art Law 特許法

    「アート」=「著作権」。これは確かに正しい理解です。しかし、現代アートはとにかく多種多様な作品があります。例えば、チームラボの「お絵かきタウン」をみてみましょう。実際に体験したことのある方も多い作品かもしれません。 チームラボは、「お絵かき画像表示システム」という発明の名称で、特許を取得…

  • 種々の自動車エンジンの紹介

    2020.01.31 特許法

    前回に引き続き、自動車エンジンについてご説明いたします。今回は、実用化されているエンジンから研究段階のものまで、種々の自動車エンジンを紹介いたします。 1 ハイブリッドシステム(ストロングハイブリッド) ガソリンエンジンとモーターから成るパワートレインにより、①発進・低速時はモーターで走…

  • 自動車エンジン開発に求められること

    2020.01.24 特許法

    はじめに 私は、大学院を修了後、自動車メーカーに入社してエンジンの研究開発を担当しました。法曹の道に進んでからは、数々の自動車に関する知財紛争を経験する機会に恵まれましたが、その際に、自動車エンジンにかかる知識が紛争解決に大いに役立ちました。 そこで、弁理士先生や知財弁護士先生のお役に立…

  • 専門委員の選任方法

    2020.01.14 弁護士:河部 康弘 特許法 知的財産訴訟

    明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 今回は、前回話題にした専門委員の選ばれ方について。 専門委員は、裁判所の専門委員候補リストの中から複数人の候補が選ばれ(事件によって、技術説明会に出席する専門委員の数にもばらつきがあります。)、専門委員候補について何か意見…

  • 専門委員と調査官

    2019.12.27 弁護士:河部 康弘 特許法 知的財産訴訟

    1 裁判所の技術の理解を助けるための専門家 特許に関する裁判は、単に法律だけでなく技術についても理解が必要となります。裁判官は法の専門家ではあっても技術の専門家ではないため、特許関係訴訟には、他の訴訟とは異なり、裁判官の技術に対する理解を助けるための制度が設けられています。 その一つに、…

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