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INSIGHTコラム

JPドメイン名紛争処理手続①

2015.05.07 Thu
  • その他の知的財産関連業務
  • 不正競争防止法
  • 弁護士/河部 康弘

1 JPドメイン名紛争処理手続:ドメイン名を取り戻す唯一の手段

こんにちは、河部です。今回は、弊所で扱った珍しい事案、JPドメイン名紛争処理手続について触れてみたいと思います。

ドメイン名について争う法的根拠としては、不正競争防止法(不競法)2条1項12号があります。しかし、不競法2条1項12号では、差止請求(ドメイン名の使用の中止を求める請求)や損害賠償請求は認められても、そのドメイン名をよこせと命令することはできません。

これを実現する唯一の手段が、JPドメイン名紛争処理手続です。

2 私的機関の判断なのに強制力がある

私は鉱業法上の裁定(鉱業法133条)について調査をしたことがあるのですが、JPドメイン名紛争処理手続は鉱業法の裁定のように行政機関が行う裁定とは異質です。他の裁定は法律上の根拠があって行政機関(鉱業法であれば経済産業省)が判断を下すのですが、JPドメイン名紛争処理手続は、あくまで私的機関が行っているというところに特徴があります。

私的機関による紛争処理というと仲裁手続を思い浮かべますが、仲裁では仲裁合意が必要であり、つまりは相手方も同意していないと第三者が強制力を持つ判断を下すことはできません。これに対し、JPドメイン名紛争処理手続では、ドメインを有している側(登録者)の意向は関係ありません。ここは重要なポイントです。

また、仲裁手続と異なり、裁定の結果に不服がある場合には、裁判所で争うことができます(JPドメイン名紛争処理方針第4条k)。

3 裁定申立てに処分禁止の仮処分と同じ効力がある

JPドメイン名紛争処理手続が開始すると、民事裁判手続でいうところの処分禁止の仮処分と同じ効果が生じます(JPドメイン名紛争処理方針第8条(ⅰ))。

すなわち、JPドメイン名紛争処理手続においては、申立書を登録者に送付した日(JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則第4条)から、ドメイン名を他の者に移転することができなくなります。

相手方の不正の目的を立証できる証拠を掴んだら、できる限りに早期に申立てをして、第三者にドメイン名を移転されることを防ぐ必要があります。

4 JPドメイン名紛争処理手続を扱った弁護士・弁理士は少ない

私も最近申立代理人としてJPドメイン名紛争処理手続を初めて扱い、無事ドメインの移転という結果を得ることができました。

JPドメイン名紛争処理手続の結果は、知財仲裁センターに事例として全て掲載されます(JPドメイン名紛争処理方針第8条j)。しかも、その事例は年に数件程度であり、かなり少ないです。事例を見ていけば、JPドメイン紛争の経験を有する弁護士・弁理士の先生は思った以上に少ないことが分かります。

こういうレアな事案で結果が公開されるというのは、移転裁定を得た担当弁護士にとっては気分がいいものです。                     (河部)

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