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髙部判事の講演①

2017.02.03 Fri
  • 特許事務所様向けサービス
  • 知的財産訴訟
  • 弁護士/河部 康弘

1 髙部判事の講演に出席

今回のブログは弁理士の先生方向けの記事です。

昨年の話ですが、髙部眞規子知的財産高等裁判所部総括判事による、日本弁理士クラブでの商標訴訟の実務の講演に、特別に出席させていただきました。その際に、弁理士の先生と裁判所・弁護士の感覚の違いという点で、特に印象に残ったことをご紹介させていただきます。

2 発信主義と到達主義

1点目は、審決取消訴訟の期間制限についてのものです。

審決取消訴訟は、「審決又は決定の謄本の送達があった日から三十日を経過した後は、提起することができない」(特許法178条3項)とされています(外国法人の場合には、審判長が90日間の附加期間を定めるため、120日となります。)。

特許法19条は、特許庁に提出する提出期間が定められている書類の効力発生時期について、証明をしたときは日本郵便に差し出した日時に「特許庁に到達したものとみなす」として、発信主義を定めています。

これに対し、裁判所に提出する書類についてはこのような特別規定がなく、あくまで裁判所に到達した日時に到達したことになります。

3 期限徒過の危険性

特許庁に対す出願業務では、期限の最終日に消印をもらって郵便局に提出しさえすれば、期限の問題はクリアできます。

しかし、髙部判事のお話によれば、この出願業務に慣れている弁理士の先生の中には、同じようにすれば、審決取消訴訟の出訴期間制限もクリアできると誤解されている方もおり、年間数件は、出訴期限の30日を経過した後に訴状を提出したとして、訴えが却下されてしまっているそうです。

弊所の弁護士は、こうした出願実務と訴訟実務の違いを熟知しておりますので、弁理士の先生から審決取消訴訟の訴状提出についてご相談いただいた場合には、必要に応じて予め発信主義でないことをお伝えしています。しかし、出願実務のことをあまりご存じでない弁護士の場合には、誤解の存在自体を認識していない可能性が高く、訴訟のプロである弁護士に相談したから安心と思っていたら、思わぬミスを招いてしまった・・・という事態が起きないとも限りません。

期間制限の徒過は、取り返しのつかない致命的なミスです。是非、裁判所が到達主義であるという点にご留意いただきたいと思います。

次回は、2点目についてお話しさせていただきます。

(河部)

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