弁護士ノート

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特許検索のHOW-TO①

2021.01.14 弁護士:平田 慎二 その他の知的財産関連業務

現在、AIを使った特許検索サービスも出てきており、従来に比べて特許検索が容易になっています。とはいえ、まだまだ無料で使用できる特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使用している方が多いのではないかと思います。
ここでは、J-PlatPatでテキスト検索をしたことはあるけれど、FIやFタームを使ったインデックス検索をしたことがないという方に向けて、簡単にできるインデックス検索方法をご紹介します。

1 インデックス検索の必要性
テキスト検索は、用語を入力するだけなので、誰でも容易に検索できるという長所がありますが、検索漏れが発生しやすいという短所があります。簡易的な調査であれば、テキスト検索だけでも足りますが、漏れのない検索を目指すためには、インデックス検索が必須となります。
インデックス検索では、適切な検索キーワードがない技術を検索できたり、テキスト検索では引っかからない古い文献を検索できたりするので、検索漏れが少ないという長所があります。しかし、インデックスに関する知識がないと検索対象を絞り込めないという短所があります。
インデックス検索を全て理解しようとすると難しくなってしまいますので、本稿では、これだけ知っていればいいという情報をご紹介します。

2 適切なインデックスの見つけ方(検索対象の特許公報がある場合)
弊所が取消訴訟を代理人として担当した「いきなり!ステーキ」ビジネスモデル特許(特許第5946491号)を実例として、適切なインデックスの見つけ方を説明します。
この特許発明は、計量した肉の量とテーブル番号を記載したシールを出力する計量機を利用したステーキの提供システムです。
この技術に関連するインデックスを見つけるためには、まず、特許・実用新案番号照会で特許公報を照会し、特許公報の右上にある「検索キー」をクリックします。

「検索キー」をクリックすると、特許公報に付与されているインデックスの一覧が表示されます。まずは、 FIの「A47F10/06」をクリックして、FIの内容を確認します。なお、特許公報の表紙にも検索キーは記載されていますが、公報が発行された時点での古い情報になりますので、最新の検索キーはJ-PlatPat上で確認する必要があります。

「A47F10/06」をクリックすると、特許・実用新案分類照会(PMGS)のA47F10/06の箇所が別ウィンドウで開き、FIの内容を確認することができます。

これにより、「A47F」には、「商店、倉庫、酒場、料理店または類似の場所に用いる特殊な家具、備品、または付属品;支払いカウンター」が分類されており、「A47F」の中でも「A47F10/06」には、「特殊な形のサービス系列に特に適合した家具または設備で他に分類されないもの」であって、「料理店サービス系列用」のものが分類されていることが分かります。

したがって、A47F10/06は、計量した肉の量とテーブル番号を記載したシールを出力する計量機を利用したステーキの提供システムを包含する技術概念ですので、検索対象の特許公報に関連する技術のFIであることが分かります。

「A47F10/06」が付与された特許公報を検索したい場合は、「A47F10/06」をクリックして、「特実検索にセット」をクリックします。

その他の「A47G23/00@F」、「A47G23/00@K」、「A47G23/00@Z」についても同様の方法で、どのような技術概念に付与されるFIなのかを理解するした上で、インデックス検索を行うことができます。

以上が最も簡単なFIの見つけ方になりますが、検索対象の技術に関連するFIが多岐に渡る場合もありますので、コンプリートサーチを目指すためには、FIハンドブックを利用したり、調査中に発見された特許公報のFIを調べたりするなどして、関連するFIを網羅する必要があります。

次回以降、Fタームの見つけ方や検索対象の特許がない場合の適切なインデックスの見つけ方をご紹介する予定です。

(平田)

 

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