03-3568-8410受付時間:平日9:30〜18:00

INSIGHTコラム

小林・弓削田法律事務所 > コラム > 不正競争防止法 > 店の外観類似で仮処分命令

店の外観類似で仮処分命令

2017.03.14 Tue
  • 不正競争防止法
  • 弁護士/平田 慎二
  • 弁護士/神田 秀斗

1 外観類似で使用差止め

去年のことになりますが、日本経済新聞の朝刊に、「『コメダの外観』まねはダメ」という記事がありました。

内容としては、株式会社コメダが運営するコメダ珈琲店の外観、内装及びメニュー表示等を、株式会社ミノスケの運営するマサキ珈琲中島本店がそのまま使用しているとして、株式会社コメダがその使用の差止めを求めた仮処分命令申立事件となっています。

日経新聞に掲載された決定理由では、「あまりに多くの視覚的特徴が同一または類似している」、「提携など営業上の緊密な関係を混同させる可能性があり、店舗外観の使用はコメダの営業上の利益を侵害する恐れがある」とされています。

ちなみに、コメダの店舗とマサキ珈琲の外観の対比は以下のとおりです。いかがでしょうか?

出典:「仮処分命令の発令に関するお知らせ」

2 記録閲覧

仮処分決定自体は公開されていないため、その内容を知ることはできませんが、上記の「仮処分命令の発令に関するお知らせ」では、本案訴訟も提起されているという記載がありましたので、本案訴訟に係る記録を閲覧しに行きました。

3 事件の背景

当事者の主張によると、もともと、マサキ珈琲は、コメダ珈琲に対して、フランチャイズ契約の申込みをしていたのですが、コメダ珈琲は、同じ地域に他のフランチャイジーがいること等を理由として、申込みを断ったようです。

そこで、マサキ珈琲が、フランチャイズ契約を締結することなく、コメダ珈琲と同じような外観、内装及びメニューを備えた店舗の営業を開始してしまったとのことです。

4 根拠は不正競争防止法

記録によると、今回の訴訟では、不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)2条1項1号及び2号が根拠とされていました(一般不法行為に基づく損害賠償請求も追加主張されています。)。不競法2条1項1号と2号は、いずれも「商品等表示」と同一若しくは類似の商品等表示を使用する行為を不正競争とするものです。

「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」(不正競争防止法2条1項1号かっこ書)であり、商品の出所を示す表示(商品表示)と営業の主体を示す表示(営業表示)を合わせたものです。

本件では、原告は、まず、店舗の外観を「商品等表示」と主張しました。過去には大阪地判平成19年7月3日判時2003号130頁(ごはんや食堂事件)が店舗外観を「商品等表示」に該当し得ることを認めています1が、本件ではどのような判断がされるのか、注目です。

また、より興味深いのは、原告が、店舗の内装や商品のメニューも「商品等表示」と主張しているところです。上記のとおり、商品等表示は商品の出所や営業主体を示すものである必要がありますが、喫茶店で出されているメニューも喫茶店の内装もある程度似通っていますから、そう簡単に「商品等表示」として認められないのではないかと考えられます2。

名古屋出身の神田としては、コメダのシロノワールやブーツ型メロンジュース、ロンドマールなどの商品がどのように保護されるのか(あるいはされないのか)注目したいところです。

5 コメダ珈琲の店舗に共通する商品等表示の立証の難しさ

コメダ珈琲の店舗は数多く存在しており、全てが完全に同じ構造ではなく、それぞれが異なった外観ですから、コメダ珈琲の商品等表示を認定するためには、それらに共通する外観等を認定する必要があります。

そうすると、コメダ珈琲の外観等の特徴的な部分を抽出して、その特徴的部分が店舗全体で共通することを立証しなければなりません。

一般に不競法2条1項1号案件は周知性立証が難しいのですが、コメダ珈琲自体は有名ですから、今回のような案件では、商品等表示といえるかが勝負のカギとなりそうです。

6 損害論への移行

調書を見ると、本件は、前回の期日で損害論へ移行したようです。

損害論へ移行したということは、不競止法2条1項1号又は2号の充足性が認められたということを意味します。

理由は明らかでありませんが、判決に至った場合には必ずチェックしようと思います。

(神田、平田)

 

 


 ごはんや食堂事件において、大阪地裁は、「仮に店舗外観全体について周知営業表示性が認められたとしても、これを前提に店舗外観全体の類否を検討するに当たっては、単に、店舗外観を全体として見た場合の漠然とした印象、雰囲気や、当該店舗外観に関するコンセプトに似ている点があるというだけでは足りず、少なくとも需要者の目を惹く特徴的ないし主要な構成部分が同一であるか著しく類似しており、 その結果、飲食店の利用者たる需要者において、当該店舗の営業主体が同一であるとの誤認混同を生じさせる客観的なおそれがあることを要すると解すべきである。」としています。
 コメダのプレスリリースによると、仮処分においては、店舗建物自体の使用は禁止しているが、その余の申立てについては却下されていることから、店舗の内装や商品のメニューについては、商品等表示と認められなかったであろうと推測されます。

関連コラム

  • 不正競争防止法

JPドメイン名紛争処理手続②

  • 弁護士/河部 康弘
2015.05.08 Fri
  • 不正競争防止法
  • 商標法
  • 特許法

『特許・商標・不正競争関係訴訟の実務入門』

  • 弁護士/河部 康弘
2016.02.22 Mon
  • 不正競争防止法

改正不正競争防止法について②

  • 弁護士/神田 秀斗
2017.05.08 Mon
  • 不正競争防止法

JPドメイン名紛争処理手続③

  • 弁護士/河部 康弘
2015.05.11 Mon
  • 不正競争防止法

民法改正に伴う不正競争防止法の改正

  • 弁護士/河部 康弘
2015.04.16 Thu

LATEST ARTICLES最新の記事

SEARCHサイト内検索

CATEGORYカテゴリー

LAWYER弁護士

ARCHIVEアーカイブ