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マネーロンダリング規制の厳格化
EUで第5次マネーロンダリング指令(5th Anti-Money Laundering Directive)が2018年に制定され、アートマーケットが規制対象に加わりました。
この指令に基づき、2020年に各国での法制化が義務付けられたことから、近時KYC(Know Your Customer)やカスタマー・デュー・デリジェンス手続が厳格化しています。EUを離脱した英国でも同様にアート業界のプレイヤーに対して厳しい規制が課せられています。
このような流れのなかで、海外でのアート取引に際して、日本の会社に関する情報や役員、株主に関する情報(ドキュメント)を提出するよう求められることが多くなっています。
ドキュメントの提出にあたっては、弁護士や公証人による認証を求められることもあります。
もっとも、比較的最近始まった手続でもあり、国によって取り扱いは異なり、国際的に確立したスタンダードがあるわけではありません。
対応のポイント
日本のオーナーがこれらのドキュメントの提出を求められたときの対応のポイントは次の2点です。
①どのようなドキュメントが必要か、海外の提出先にまずよく確認し、共通認識をつくっておくこと
②公証役場にあらかじめ連絡し、ドキュメントの公証が可能か確認をとること
当初の提出先からの指示で詳細が分からない場合には、日本側で提出可能なドキュメントを伝え、それで足りるか事前に提出先に確認しておくことが大切です。国によってはドキュメントの性質が違うものは、別のドキュメントとして分けて公証するよう求められることもあります。できるだけ速やかに取引が実行できるよう追加提出が生じないようにコミュニケーションをよくとっておきましょう。
公証役場については、公証人によって手続の取り扱いが異なることがあります。ひとつの公証役場で手続ができないと言われても、他の公証役場に問い合わせると手続が可能なこともあります。
弊所では、このような海外向けKYC/カスタマー・デュー・デリジェンスに関するドキュメント整理、提出の対応も行っています。お気軽にお問い合わせください。
弁護士 木村 剛大