弁護士ノート

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現在の司法修習事情⑨〜選択修習

2023.06.15 弁護士:平塚 健士朗 その他の知的財産関連業務

 今回は、選択修習について紹介します。

1 選択修習
(1)概要
 選択修習では、各修習地が独自に設定するプログラムやどこの修習地の人でも選択可能なプログラム(全国プログラム)から、各自で希望する修習を選択して修習を行うことになります。

 各修習地が独自に設定するプログラムには、海上保安庁等、普段は見ることのできないような施設の見学等も含まれており、地域ごとで内容に多少の違いがあります。
 
 全国プログラムは、過疎地の法テラスや都内の法律事務所、裁判所、企業、行政等々、日本全国に様々なプログラムが設定されています。定員が決まっているため、第2クールの頃に行われる抽選に当選する必要があります。

 なお、この期間中、特に選択した修習のない日は、弁護修習中の法律事務所にて修習を行うことになります。内容は弁護修習中とさほど変わりません。

(2)私の選択した修習
 私が選択した修習は、記憶している限りですが、修習地独自のプログラムとして、家裁修習、海保・法医学、模擬裁判(刑事)、弁護士会の専門分野研修でした。

 全国プログラムとしては、東京地裁の知財部を選択しました。

 内容は盛沢山だったので、この中から模擬裁判(刑事)と東京地裁知財部の修習を紹介します。

(3)模擬裁判(刑事)
 研修所から配られる記録をもとに、修習生が各配役について模擬裁判を行う点では、刑裁修習中の模擬裁判と同じです。

 しかし、今回は、起訴状を作成して提出するところから始まり、公判前整理手続を経て、2日間に渡り期日を行う等、「模擬裁判」とはいえ、かなり実際の裁判に近い進行になっていました。

 関係者も、刑事部・民事部の裁判官、検察庁の三席、修習担当の弁護士、書記官、弁護士会の職員等、とても大がかりです。

 私は、刑裁修習と同様、検察官役を担当しましたが、かなり大変でした。1か月以上前から準備を開始し、修習時間外にかなりの時間を費やす必要があります。

 もっとも、修習も終盤になり、仲の深まった修習生同士で準備をしたり、期日を行ったりするのは、振り返るととても楽しい経験だったと、まだ1年半弱しか経ってないですがそう思います。

(4)東京地裁知財部
ア 概要
 2人組で知財部の各部に配属され、2週間ほど修習を行うことになります。内容は、記録検討、傍聴、起案等、他の裁判修習と同様ですが、専門部の業務や裁判官室を見る機会というのはほぼないので、特に知財が好きな人にとっては大変楽しい修習になると思います。

イ 私の感じた知財部の特色
 私が当時感じた知財部の特色としては、知財専門の弁護士が代理している事件が多いということと、IT化が他より進んでいるということです(手続面での違いも、もちろんありますが)。

 特に知財専門の弁護士が代理している事件が多いということに関しては、事件記録をいくつか見ただけでもすぐにわかるほどでした(ちなみにその中には弊所が代理していた事件もありました)。

 知財部の裁判官曰く、裁判官の目線でも実際に多いと感じるそうで、その点では、書面の内容や事件の進行が共通認識になっているので非常に訴訟を進めやすいと話していました。

2 最後に
 選択修習では、希望しさえすれば、やりたい修習を比較的自由に行うことができます。私の周りの修習生も、民間企業や過疎地の法テラス等様々な場所・内容の修習をしていて楽しそうでした。

 次回は、集合修習と二回試験について紹介します。ここからは講義の受講等、机で勉強する日々が続くことになりますが、これで短くも濃い司法修習は終わりです!

平塚 健士朗

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